概要･回路説明

　[概要]

CPUの冷却に関して色々な方法が有ると思われますが，パソコンのパワーアップ度が進むにつれてCPUに対し単にヒートシンクのみの冷却ではすぐに限界を迎えてしまいます。それ以上の冷却を望む場合，一般にペルチェ素子を利用する方法が考えられます。ペルチェ素子に関しては，割愛させていただきますが，（ペルチェ素子を使ったCPU冷却等の詳細は，拙本（日経BP社発行「パソコン改造スーパーテクニック」）を参考にしてください。）使い方によっては結露現象を招き水滴による悪影響が危惧されます。そこで結露温度に至る直前で自動的にコントロール出来る制御装置が有れば安定したペルチェ冷却が実現できます。

ペルチェ素子を使って強烈に冷却すると・・・	5インチ・パネルに組み込んだ温度計とコントローラ

このペルチェコントローラは，市販の温度計モジュール（TX-100）と組み合わせて半自動的に制御してやろうと言うのが狙いな訳です。

カスタム社製　温度計モジュールTX-100	TX-100背面内部にあるゴマ粒大の温度センサ

この温度計モジュール（TX-100）には，温度センサにごま粒程度の大きさのサーミスタが採用されておりモジュール本体から取り出し延長してCPUの温度を測定する場合にとても都合が良くできています。更に「温度アラーム機能」等の制御モードが標準で組み込まれています。

「温度アラーム機能」とは，この温度計モジュールで感知した温度がユーザの設定する温度に至ると本体裏面のポート端子に制御信号を発生します。

しかし，その信号を直接ペルチェ素子に接続できません。加えてこの温度計モジュールには設定するためのスイッチは組み込まれていないので別途用意する必要があります。そこで私は，この機能を有効に利用してペルチェ素子冷却するためのコントローラを設計しました。

このペルチェコントローラは，TX-100を設定するためのスイッチやペルチェ素子に加える電圧の選択が出来る他に希望する温度においてペルチェ素子へ通電を開始したり切断したりして冷却温度を制御します。また，万が一の冷却装置の故障時には警告音を発してユーザへ知らせる機能も備えています。

[回路説明]

このペルチェコントローラの回路図はcircuit.htmlを参照してください。

簡単に説明しておきますとセンサで感知した温度がLOW設定温度より高い時，ペルチェ素子に電流が流れてCPUを冷やします。センサ温度が下がりLOW設定温度となった時，電流を切断して冷却装置を停止させるのですがその制御信号はTX-100の7ピン(M2)から取り出しています。この信号をQ2のトランジスタに入力してQ1のFETをスイッチングしています。加えて，予め設定したHI設定温度を超えるとブザーを鳴らして冷却装置の異常を知らせる回路もあります。TX-100の6ピン(M1)からその信号を取り出してQ3に送り圧電ブザーを動作させると共に発光ダイオードが点灯するように設計しました。